2012年4月15日日曜日

コンラート・ローレンツ(谷口訳)『人間性の解体〔第2版〕』思索社、1999年。

著名な動物行動学者の晩年の著作。筆者の不案内な分野である。 
 現代の技術主義文明への文明批評としては格別目覚ましものはないように思うし、正直なところどころ哲学的なナイーブさも感じられるようにも思う。現代文明批評に関してはやはりマックス・ピカートのものが最も先鋭であるように思う。
 印象に残った議論として「テレオノミー」の議論がある。偶然的な進化の結果、種にあたかも目的論的な合理性を持ったかのごとき特性が生じることを意味するらしい。
 子供の生命への畏敬の感覚を養うために実物教育の意義を説いたりするなど、実践的に目指していることは全体に穏当であるように思う。

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